ドイツ語を公用語とする国はドイツ、オーストリア、スイス、リヒテンシュタインの4ヶ国です。
その中でも標準ドイツ語であるHochdeutsch(ホッホドイチュ)を話すのは実はドイツだけなんです。
それもハノーファー近辺のみが癖のない標準語を話します。
スイスにはスイスドイツ語というドイツ語の原型をほとんど留めない方言があり、オーストリアドイツ語もそれに並ぶぐらい癖の強い方言なんです。
オーストリア西側の方言は少しスイスドイツ語とも似ていたりしますが、また東側のウィーンの方言とも違いがあります。
今回はそんなオーストリアドイツ語を紹介していきたいと思います!
オーストリア人は敬語を使う
実は日本語ほどではありませんが、ドイツ語には敬語にあたる表現があります。
英語のYouにあたる二人称「あなた・君」にはSieとduの二種類あり、
- Sie「あなた」
- du「君」
基本的に目上の人や初対面の人に向かってはSieを使い、家族や友人にはduを使います。
Sieを使って話すことをSiezen、duを使って話すことをduzenといいますが、このSiezenを使うことで日本語の丁寧語のような言い回しができます。
ドイツやスイスでは友達や年下の人にはduzenで話しますが、オーストリアでは基本的に誰に対してもSiezenで話します。
オーストリアは上品なイメージがあると思いますが、かなりプライドが高い一面があるので、常にSiezenで丁寧な表現を好んで使います。
オーストリアの挨拶、Grüß Gott!
ドイツでは「こんにちは」挨拶する時はHallo(ハロー)やGuten Tag(グーテン ターク)を使いますが、オーストリアではGrüss Gott(グリュース ゴット)か若者同士であればServus(セアヴス)と言います。
日本では「こんにちは」にバリエーションはありませんが、ドイツ語では各方言で違った挨拶をします。
スイスではGrüezi(グリュエッチ)、北ドイツのハンブルク周辺ではMoi(モイ)など、各方言で違った挨拶をします。
オーストリアへ行ったらGuten Tagではなく、Grüss Gottと言ってみましょう!
そして別れ際の挨拶、「さようなら」はドイツではAuf Wiedersehen(アウフヴィーダーゼーエン)ですが、オーストリアではAuf Wiederschauen(アウフヴィーダーシャウエン)と言います。
sehenもschauenも同じ「見る」という意味なので大差はないですが、単純に使う単語が変わります。
そして「いただきます・召し上がれ」にあたるGuten Appetit(グーテン・アペティート)はMahlzeit(マールツァイト)と言います。
Mahlzeitは直訳すると「食事の時間」という意味で、Guten Appetitは「良い食欲」という意味なのでニュアンスは少し違います。
標準語と違う単語は?
オーストリアではドイツやスイスで使われる単語と違った単語がたくさんあります。
一番びっくりしたのが、Tomate(トマト)のことをParadiser(パラダイサー)と呼ぶということ。
なぜにパラダイス?という感じですが、このようにオーストリアドイツ語には標準語と全く違う表現がたくさんあります。
例)
- Tüte(袋)→Sackal サッカル
- Brötchen(パン)→Semmel ゼンメル
- Kartoffel(じゃがいも)→Erdapfel エアトアプフェル
- Sahne(生クリーム)→Obers オーバース
- Mais(トウモロコシ)→Kukuruz ククルッツ
オーストリアの独特の単語はスラヴ系からきているものもいくつかあります。
チェコやハンガリーに隣接していて過去にハンガリーの一部だったオーストリアならではの歴史的背景があります。
標準ドイツ語を決して使わない
オーストリアドイツ語はたとえ標準ドイツ語が話せる人でも理解するのは難しい方言です。
スイスではスイスドイツ語が話せなくても標準ドイツ語を話せば通じるし、お店や学校などでも標準ドイツ語で話してくれますが、オーストリア人はいつ何時でも全く標準ドイツ語を話してくれません。
歴史的な理由から、オーストリア人はドイツに良い感情を持っておらずドイツ人と一緒にされたくないという人が多いので、標準ドイツ語で話しても相手にしてもらえないことが多いです。
オーストリアでも。ドイツやリヒテンシュタイン、スイスに近い西側のインスブルックなどの都市ではドイツのバイエルン方言やスイスドイツ語に似た方言を話すので、比較的通じやすいですが、
ウィーンやザルツブルクへ行くともっと違いが明確で、東へ行けば行くほど理解できなくなっていきます。
Gemütlichkeitを大事にしたゆったりとした話し方
オーストリアでよく聞く「Gemütlichkeit(ゲミュートリッヒカイト)」という言葉があります。
これは「心地よさ・幸せな雰囲気」などという意味で、オーストリア人はこの言葉をモットーに生きている、と言っても過言ではないぐらい国民全員が意識しています。
のんびりとマイペースに心地よさ、楽しさを持って生活しているオーストリア人。
それゆえかアクセントは強いながらも、オーストリア人の話し方はドイツよりは少しゆったりしていて、発音に関しても語尾が長めだったりと少し違います。
世界一住みたい国に何度も選ばれるだけあって、とても幸福度の高いゆったりした生活でありながらも充実した生き方ができるオーストリア。
もしドイツへ旅行へ来るなら一度オーストリアにも足を運んでみてくださいね!
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