ドイツ語が難しいと言われる5つの理由

ドイツ語を話せるという話をすると、「ドイツ語って難しんでしょ?」と聞かれることがよくあります。

日本人にとって外国語を話すことはハードルの高いこととして認識されていますが、たしかにその中でも英語や韓国語、スペイン語などと比べてもドイツ語は特に難しいと言われています。

今回はなぜ日本人にとってドイツ語が難しいと言われているのかをシェアしたいと思います。

1. 名詞に性がある

ドイツ語の名詞には性があり、すべての名詞が男性名詞女性名詞中性名詞

この3つのいづれかに分けられます。

単語を覚えるときは必ずこの性も一緒に覚えないと文を作るときに活用できなくなります。

*die Elternのように、例外的に複数形しか存在しない単語もあります。

男性名詞 der-

(例)der Mann 男性、der Zug 電車、 der Tisch 机、der Apfel りんご、die Käse チーズ、der Schrank 棚

女性名詞 die-

(例)die Frau 女性、die Zeit 時間、die Karte カード、die Tasche かばん、die Tür ドア、die Kleidung ワンピース

中性名詞 das-

(例)das Kind 子ども、das Auto 車、das Sofa ソファー、das Handy 携帯電話、das Laptop ノートパソコン


フランス語でも男性名詞のleと女性名詞のlaの2種類だけですが、ドイツ語は中性名詞もあるので、きちんと覚えないであてずっぽうでは厳しいですね。

2. 冠詞が13種類もある

冠詞とは英語でいう“the”や “a”にあたるもので、文法用語では、theを定冠詞、aを不定冠詞と呼びます。

英語の冠詞は定冠詞のthe、不定冠詞のaの2種類なのに対し、ドイツ語には定冠詞が7種類(der, des, dem, den, die, der, das)、不定冠詞6種類(ein, eines, einem, einen, eine, einer)の計13種類あります。

ドイツ語の名詞には男性名詞・女性名詞・中性名詞・複数形があり、てにをは(1格〜4格)との組み合わせによってそれぞれ冠詞が変わります。

定冠詞(英語:the)

      男性女性中性複数
1格(Nominativ)〜は、〜がderdiedasdie
2格(Genitiv)〜のdesderdesder
3格(Dativ)〜にdemderdemden
4格(Akkusativ)〜をdendiedasdie

不定冠詞(英語:a)

男性女性中性
1格(Nominativ)eineineein
2格(Genitiv)eineseinereines
3格(Dativ)einemeinereinem
4格(Akkusativ)eineneineein

定冠詞が16通り、不定冠詞が12通りあるので、合わせて28通りの冠詞変化をドイツ語では使い分けることになります。

これらの表を覚えていないと文を作ることができません。

例)der Zug 電車

Der Zug fährt. その電車走っている

Die Farbe des Züges ist weiß. その電車色は白色だ

Ich fahre mit dem Zug. 電車乗って行きます

Ich habe den Zug gesehen. 私はその電車見ました

英語では定冠詞はtheのみ、フランス語でも男性名詞のleと女性名詞のlaと複数系のlesの3種類しかないのに対し、ドイツ語は13個もあります…。

これが習い始めた途端、学習者にとって大きな壁となることは言わずもがなですね。

3. 人称ごとに動詞が変化する

ドイツ語の動詞は人称ごとにも形が変わります。

ich(私)、du(君)er(彼)sie(彼女)Sie(あなた)ihr(君たち)sie(彼ら・彼女ら)

例)haben「持つ」

ich habe Sie haben
du hast ihr habt
er/sie hat sie haben

 

さらに、不規則動詞になると、上の変化とはまた違った規則性のない変化をするのでいちいち覚えなくてはいけません。

4. 動詞と前置詞の組み合わせが決まっている

ドイツ語の動詞には特定の前置詞がセットで使われます。

新しい動詞を覚える際には、「この動詞にはこの前置詞」というセットで必ず覚えなければいけません。

前置詞はそれ単体でもそれぞれ意味がありますが、セットになる前置詞によってその意味が変わる動詞もたくさんあります。

さらに、各前置詞によってとる格が変わります。

例えばmitは3格をとる、fürは4格をとる、nachは3格をとる…などと決まっているのでそれらも合わせて覚える必要があります。

主な前置詞の意味

  • an 〜のきわで、へ
  • auf 〜の上に、へ
  • in 〜の中へ、に
  • für 〜のために
  • mit 〜と共に
  • über 〜の上方で、〜について
  • bei 〜の側で、に
  • vor 〜の前で
  • nach 〜の後で
  • gegen 〜に対して

例)

Ich frage nach dem Projekt. そのプロジェクトについて質問する。 

Ich denke an ihn. 私は彼のことを考えている。

Ich danke für deine Hilfe! 手伝ってくれてありがとう!

5. 形容詞も変化する

ドイツ語では形容詞も修飾する名詞の性と格によって語尾が変化します。

その変化表がこちら。↓

これもすべて頭に入れておかなければ文章を組み立てられません。

「赤い」という意味の形容詞 rotを例に見てみましょう。

Ich schenke ihr eine rote Rose.(私は彼女に一輪の赤バラをプレゼントする)

Rose(バラ)は女性名詞で、「〜を」は4格(Akkusativ)なので、形容詞rotの語尾は-e

Er fährt mit dem roten Auto.(彼は赤い車乗っていく)

Autoは中性名詞、前置詞mit「〜と一緒に」は3格をとる前置詞なので冠詞はdem、形容詞rotは語尾は−en

ドイツ語は文法が要!

ドイツ語学習の難しい点は他にもありますが、他の言語と比べて大事なのが、はじめに文法を一通りマスターしなければいけないということです。

逆にフランス語は発音のルールを覚えるとことから始めなければ読むことも話すこともできませんし、言語によって苦労する点は違います。

ドイツ語の発音はとても簡単で、少しの例外を除けば、ほぼほぼローマ字読みでいけるので日本人にとっては英語よりも読みやすく発音しやすいですが、

初めに学ぶべき文法が難しいとなると、とっつきにくい言語として認識されてしまうのも無理ないですよね。

でも逆に言えば、文法さえ抑えておけばドイツ語は例外が少ない言語なのでマスターしやすいのではないかと個人的には思います。

今回はドイツ語が難しいと言われる理由についてシェアしたので、少々ネガティヴな内容になってしまいましたが、これからドイツ語を勉強しようかな?と思っている方にぜひ参考になればと思います!

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