最近日本でもよく聞くようになった「イマージョン・プログラム」ですが、みなさんどんな内容かご存知でしょうか?
スイスでは何十年も前から取り組まれている教育ですが、「英語で理科を」「フランス語で数学を」「ドイツ語で社会を」学習するなど、外国語で他教科を学習することをいいます。
日本の学校教育でも取り入れられ始めている、イマージョン・プログラムについて今回はまとめていきます。

イマージョン・プログラムとは?

イマージョン・プログラムは簡単にいえば、「外国語で他教科を学ぶ」教育プログラムのこと。
ネイティヴ教育の一環です。
そもそもイマージョン(immersion)とは「浸る」という意味の単語ですが、イマージョン・プログラム(immersion program)とは、「ある言語に浸りきって習得する」という意味で使われています。
イマージョン・プログラムはカナダで始まったと言われていますが、今や欧米では当たり前に採用されている教育システムです。
カナダでは英語とフランス語の二言語が公用語となった同時期に、「英語だけでなくフランス語を話すカナダ人の文化・伝統も子どもたちが理解できるよう、教育プログラムを作ろう!」と始まったものだそうです。
未習得の言語を使って別の教科を勉強するというものですが、「外国語だけ」でなく、「外国語と他教科両方」を同時に学べるというこのプログラム。
日本では英語でのイマージョン・プログラムが主流になっています。
イマージョン・プログラムの利点

イマージョン・プログラムは全世界で取り入れられているだけあって、たくさんの利点があります。
- 2つの言語で読み書きができるようになる(言語能力の向上)
- 学業達成度が高められる
- 他文化理解が進む
❶2つの言語で読み書きができるようになる
日本では特に、英語でのイマージョン教育が主流です。
英語を“手段”として他教科を学ぶことで、日常で使う自然な英語を習得することができ、英語でも日本語でもその教科について話すことができるようになります。
いわばネイティブ脳を養う訓練にもなります。
❷学業達成度が高められる
これは、日本語のみで学んだ場合と同様に、その教科の学習達成度にプラスして外国語の学習達成も感じられ、双方の学習に相乗効果をもたらします。
例えば、英語で家庭科を勉強したとします。
調理器具の名前や工程などを、英語でも日本語でも理解し、調理した内容も頭に入るので、通常の日本語授業と同様。もしくはより多くの学びを得ることができます。
❸他文化理解が進む
イマージョン・プログラムでは外国語を理解するということのみならず、その言語のもつ文化をも理解するということが目的とされています。
英語と日本語を見てみても、英語をすべて理解するには英語圏の文化的背景を知る必要が出てきます。
そんな他文化理解もイマージョン・プログラムでは育成することができます。
日本のイマージョン・プログラムの課題
そんなに良いプログラムならなぜ日本の学校で取り入れないの?
という疑問がわくかもしれませんが、イマージョン・プログラムは教師にとってもかなり大変です。
ネイティヴレベルの英語を話せる数学の教師、フランス語を話せる体育の教師など、日本の学校にはほとんどいないのではないでしょうか。
逆にネイティヴの先生がいても、数学を教えられるか?と言われれば、ほとんどの先生がNOと答えるでしょう。
ネイティヴと教科の先生、少なくとも二人で、内容をシェアした上で授業を行う必要があります。
現実的に行えるのは一部の私立学校とインターナショナル・スクールぐらいです。
とっても良い教育プログラムではあるけれど、現実的に取り入れにくいのが日本の教育での課題であります。
スイスのイマージョン・プログラム

スイス人の友人曰く、小学校のころから算数は英語での授業だったそうです。
ドイツ語圏のスイス出身の彼は、スイスドイツ語を母国語として、学校の国語では標準ドイツ語を学び、英語で算数を学び、小学校4年生からフランス語の授業が始まり、中学生からイタリア語の授業が始まったそうです。
平均3カ国語を話せるスイス人の学校教育は日本人にとっては信じられないのですが、幼い頃から多言語で勉強いているからこそなのだな、と納得しました。
まとめ
今回は、イマージョン・プログラムについてシェアしました。
日本語が母国語の生徒にとってはインターナショナルスクールの授業もすべて、イマージョン教育環境となります。
「英語漬け」の環境で他教科を学ぶ、イマージョン・プログラム、日本での義務教育への導入にはまだまだ課題がありますが、日本でも既にカリキュラムに取り入れている学校もあるので、興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか。
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