スイスには公用語が4つあり、ドイツ語、フランス語、イタリア語のほかにロマンシュ語という珍しい言語があります。
この絶滅しつつあると言われる「ロマンシュ語」が話されるのはスイスの南にあるグラウビュンデン州でのみ。
そんな世界でもあまり知られていないロマンシュ語について、今回は紹介していきます!
ロマンシュ語を話す地域・話者数
ロマンシュ語が話される地域はスイスでも南のイタリアに接するグラウビュンデン州のみですが、ここではロマンシュ語の他にドイツ語、イタリア語も話されています。
ロマンシュ語を母国語として話す人はたったの“40000人”ほどです。
1990年のスイスの国税調査では、ロマンシュ語を日常的に使うと答えた人が66,356人、そのうち主要言語(母国語)として話すと答えた人は35,095人のみでしたが、現在の話者数は約40000人にまで増えています。
絶滅しつつある言語として知られているロマンシュ語ですが、現在はスイス政府が保存対象として保護政策を試みているため話者数は少しずつ増えてきています。
日本語の話者数は約1億3400万人なので、ロマンス語の3350倍もの人口がいることになりますね!
ちなみに、グラウビュンデン州では義務教育もロマンシュ語で行われていますが、もちろんドイツ語、イタリア語、英語の授業もあります。
ロマンシュ語の特徴
ロマンシュ語はラテン語派に属するの言語で、かなりイタリア語に似ています。
聞こえ方はイタリア語に似ていますが、語源はフランス語から来ているものが多いです。
イタリア人の友達に聞いたところ、イタリア人でもロマンシュ語を聞いたら少し理解はできるけどとても独特な発音に聞こえるそうです。
ですが、ドイツ語を話すスイスに属しているのもありドイツ語からの影響も強く受けています。
ドイツ語では動詞の位置が必ず2番目に来る、「動詞第二位の法則」がとられていますが、これがロマンシュ語にも適用されています。
ここがイタリア語やフランス語と大きく違う点です。
ロマンシュ語の方言
話者数の少ないロマンシュ語ですが、ロマンシュ語には5つの方言があります。
- Sursilvan
- Sutsilvan
- Surmiran
- Puter
- Vallader
もともと話者数の少ないロマンシュ語ですが、その中にも5つもの方言があり、それぞれかなり特徴が違うんですね。
ただでさえ絶滅しつつあるのにロマンシュ語の中でもこんなに違いがあると継承しづらいということで、近年ではRumantsch Grischunというグリシュン州のロマンシュ語を基本に教育していくことになっています。
ロマンシュ語の基本
ここで少しロマンシュ語がどんな言葉なのか、日常会話で使えるロマンシュ語を紹介します。
ロマンシュ語のあいさつ
- こんにちは…Rumantsch!
- さようなら…A revair!
- ありがとう…Grazia!
- 元気ですか?…Sco has?
- 私の名前は〇〇です。…Jeu senumnel 〇〇.
ロマンシュ語に関する文献
ロマンス語について書かれている日本語の書物は本当に少ないのですが、いくつか参考になる本や辞書サイトなどを紹介しておきます。
スイス「ロマンシュ語」入門
ロマンス語についてのみ書かれている唯一の書で、ロマンシュ語やドイツ語に詳しくない人でも言語について興味のそそられる内容です。
東京外国語大学オープンアカデミー 2011年度 後期公開講座 活動報告書
こちらは、上記のスイス「ロマンス語」入門の著者でもある東京外国語大学の富盛信夫教授がオープンアカデミーの公開講座のためにまとめられた内容です。
一般人にもわかりやすく説明されているのでとても読みやすいです。
http://www.tufs.ac.jp/common/fs/ilr/images/publications/2011booklet_ver2.pdf
最後に
日本でもほとんど知られていないロマンシュ語。
日本語で詳しく説明されている文献などもあまりなかったので、スイスで読んだドイツ語フランス語での情報を翻訳してまとめてみました。
また新たに学んだことがあれば、そのつど追記していこうと思います!
ちなみにGoogle翻訳などWeb翻訳機能はロマンシュ語に対応していませんが、wordなどやExcelなどMicrosoft officeでは対応しています。
ロマンス語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・英語の変換辞書はオンライン上にあるので、興味のある人はぜひ活用してみてください。
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