ドイツ語を活かせる職業とは?【ドイツ語レベル別まとめ】

今ドイツ語を教えている学生から、「ドイツ語をできるようになって、ドイツ語を使う仕事がしたいです!」と相談を受けました。

彼は日本の外国語大学でドイツ語を専攻しているものの、ドイツ語と職業を結び付けて考えたことがなかったそうです。

そこでドイツ語を実際に使える仕事が日本にどれぐらいあるのか、またどんな職種があるのか、今回はそんな質問に答えていこうと思います。

「ドイツ語を使う職業」といっても求められるレベルは違います。

ネイティヴレベルを求められるところや、日常会話程度できればいいところ、英語とプラスαで理解できたらいいレベル…など、自身のドイツ語レベルによっても就ける仕事は変わってきます。

なのでここでは、必要なドイツ語レベル別に紹介していきたいと思います。

日本におけるドイツ語の需要

そもそも日本でドイツ語を使う機会というのはそう多くありません。

外国語の中でも最も多用するのが英語、その次に中国語です。

ヨーロッパやアメリカ大陸から来た外国人たちのほとんど英語はできるので、わざわざ日本で母国語で通そうとはしません。

むしろ日本語を使おうとする外国人の方が多い印象です。

では仕事面での需要はどうかというと、某大手転職エージェントの知り合いに聞いたところ、資格として持っていて絶対的に有利な語学は3つだけ、とのこと。

  1. 英語
  2. 中国語
  3. 韓国語

この3つだそうです。

世界的に見ても話者数が多い英語と中国語、そして今日貿易や旅行など取引が多く日本からも近い韓国とは仕事も多く、韓国語の需要も近年増えてきているそうです。

ですが、ドイツ語やフランス語の能力が有利に働く企業というのはそう多くはありません。

ドイツ語を必要とする企業

では逆に、ドイツ語を必要とする企業はないのかというと、そんなことはありません。

日本の大手企業や、日本へ進出しているドイツの大手企業などはもちろん、最近ではゲーム会社での翻訳の仕事なども増えています。

友人の親戚が日本の某大手食品会社のドイツ支社長をしていましたが、ドイツの日系企業が集まることで有名なデュッセルドルフで長年駐在していました。

ドイツ、ヨーロッパへ進出している企業はデュッセルドルフに支店を置いているところが多いので、海外勤めでも構わないのであればドイツ駐在員として働く選択肢もあります。

またその逆もしかりで、日本進出しているドイツ系企業なども日本に存在します。

ドイツ人社員たちと一緒に働くことになるため、会社でもドイツ語が飛び交う環境です。

そういった企業の大多数が関東に社を構えているので、地方でドイツ系企業を探すとなると難易度は上がってしまいます。

ドイツ語レベル【上級】

ドイツ語と日本語の両方をネイティヴレベルで使いこなせる上級レベルとは、ドイツ語検定でいえばC2や独検1級を所持している人、またそれ同等の能力を有している人と言えます。

そんな、いわば日独バイリンガルな人が就けるおもな職業はこちら。

  • 翻訳家(本や映画)
  • 通訳者
  • 外交官
  • 全国通訳案内士

翻訳家

翻訳家の主な仕事は、外国語の本や映画などを日本語へ翻訳、または日本語の本を外国語へ翻訳する仕事です。

映画や本以外にも、契約書などの書類や証明書、歌詞などの様々なジャンルの翻訳があります。

翻訳には時間がかかり、なおかつ正確さが求められるのでネイティヴレベルのドイツ語能力が必要になります。

翻訳家の中には通訳者と並行して仕事をしている人が多いですね。

通訳者

通訳者とは、日本語を話す人と異なる言語を話す人の架け橋となり日本語をドイツ語へ、ドイツ語を日本語へ変換することで両者の会話を成立させるお仕事です。

通訳者としての業務内容は、商談などビジネスの場や国際会議、国際ニュースの通訳などが主で、ドイツ語や日本語の知識以外にも専門知識や教養が求められる職業でもあります。

通訳者はたいてい3カ国以上話せる人が多く、特にドイツ語と日本語の通訳者であれば英語の能力も求められる場合があります。

外交官

外交官とは、国の代表として外国との交渉などを行う外務省職員のことを指します。

外交官になるにはドイツ語能力以外にたくさんの能力が必要です。

まずは国家公務員総合職試験に合格する必要があり、合格後も官庁訪問を行って面接の試験にも通って、最終的な内定をもらうという二重のハードルがあります。

その上で日本のドイツ大使館やドイツの日本大使館などで働くには、高度なドイツ語が必須です。

外交官の仕事内容といっても様々ですが、日本と外国の外交を英語やドイツ語、日本語を使って行うとともに、駐在する国の情報を日本語にして拡散するということも業務としてできなければいけないので、ある程度の翻訳・通訳の能力も兼ね備えている必要があります。

全国通訳案内士

全国通訳案内士とは、日本へ来た外国人観光客を通訳案内するプロのツアーガイドです。

ドイツ語の全国通訳案内士の試験は独検1級と並ぶぐらい難しい国家試験で、語学関連の唯一の国家資格です。

その試験に受かれば、報酬をもらい全国通訳案内士として通訳案内をすることができます。

ちなみに日本で受けられるドイツ語の試験で一番難しいと思うのが、このドイツ語の全国通訳案内士試験です。

独検1級の保持者であればドイツ語の試験は免除され、その他の観光に関する試験から受験できます。

ドイツ語レベル【中級】

中級はドイツ語検定でいえば B2〜C1、独検準1級レベルと捉えて良いでしょう。

このぐらい話せでば現地で生活するのに支障のないレベルなので、完璧でないまでも高いドイツ語レベルではあるので、選択肢は広がります。

  • 客室乗務員(キャビンアテンダント)
  • パイロット
  • ドイツへ進出している日系企業の各職
  • 日本へ進出している外資系企業の各職
  • 企業の通訳・翻訳業務
  • 大学や高校のドイツ語教諭・講師
  • ドイツ語教室の講師
  • ツアーコンダクター

客室乗務員(キャビンアテンダント)

客室乗務員は語学力を活かせる職業の中でも人気な職業で、乗客に対しての機内サービスと保安業務を担っています。

客室乗務員はとくに国際線では外国人クルーやパイロット、乗客と英語で会話をすることが多いです。

プラスαでドイツ語が話せたら日系の航空会社以外でなくても、ドイツ系オーストリア系、スイス系の航空会社で働くという選択肢も増えます。

パイロット

パイロットとは旅客機を操縦して乗客や荷物を目的地まで安全に届けるお仕事です。

そもそもパイロットは管制塔や他のパイロット達と英語でやりとりするので高度な英語力が必要です。

その上でドイツ語ができればルフトハンザやオーストリア航空、スイスインターナショナル航空などドイツ語圏の航空会社のパイロットとして働く選択肢もあります。

ドイツ進出している日系企業

近年のグローバル化により、海外へ進出している日本企業は増えてきています。

エンジニア系や食品系、機械系の企業はとくにドイツへたくさん進出しているように思います。

ドイツのデュッセルドルフには日本人街があり、日本企業や他のアジア企業が参入している都市で、駐在さんがたくさん住んでいます。

日本語とドイツ語ができるのであれば、そのような企業でドイツ駐在として働いたり、企業通訳などとしても重宝されます。

日本へ進出している外資系企業

上記の逆も然りで、日本に進出しているドイツ系企業もたくさんあります。

外資系企業の日本支社では英語やドイツ語が使えることは採用においてもプラスの面がたくさんあります。

特にドイツの企業であれば大抵、日本支社といえどもドイツ人社員と日頃からコミュニケーションを取ることになるのでドイツ語の能力を使う場面も多くなります。

企業の通訳・翻訳業務

日本の企業や、日本進出のドイツ企業などで業務の一環として、通訳・翻訳の業務を必要とする会社はあくさんあります。

私の周りでも特に大手電機メーカーなどで働いている人で語学に長けている人は、よく通訳業務をさせられています。

外国との取引が多い職場では英語が、ドイツと取引のある企業であればドイツ語の能力も重宝されます。

大学や高校のドイツ語教諭・講師

あまり知られていませんが、大学のドイツ語教師以外にも、高等学校のドイツ語教諭という資格も存在します。

ドイツ語の授業を取り入れている高等学校も存在しますが、その数は少ないので英語など他の教科と一緒に取得する場合が多いです。

教育実習も英語の授業で行うことがほとんどです。

「教える」ということ自体が好きな人、ドイツ語勉強の楽しさを伝えるのが好き、という人には向いている職業です。

ドイツ語教室・語学学校の講師

大学や高校などの教育機関のドイツ語教諭とは違い、民間の語学学校での雇われ講師や個人でドイツ語教室を開校する選択肢もあります。

安定しているとは言いにくいものの、独自のスタイルでドイツ語の授業を進めていけたり、時間を自由に管理しやすいという利点があります。

ドイツ語レベル【初級】

ドイツ語レベル初級程度れあれば活かすといってもあまり役には立ちませんが、中級レベル以上の英語との組み合わせであれば需要はなきにしもあらずです。

  • ホテルスタッフ
  • グランドスタッフ
  • ツアーコンダクター
  • バイヤー

ホテルスタッフ

ホテルには日本人の以外にも訪日の外国人の宿泊客も来るので、外国語を使う機会は多い職場です。

たいがいは英語や中国語で対応できる場合がほとんどですが、ドイツ語圏からのお客さんでドイツ語しか話せないという人が来た場合にはドイツ語で対応できます。

必要になる機会はそう多くない環境ではあります。

グランドスタッフ

グランドスタッフとは空港で働く職員のことです。

出入国手続きなどのカウンター業務を行なったり、搭乗や到着後のサポートをしたりと体力のいる仕事です。

空港での職務なので英語はもちろん、ドイツ語圏への出発便の手続きなどではドイツ語も活かせる職業です。

またJALやANAなど日系航空会社のグランドスタッフとして海外の空港で働くという方法もあります。

ヨーロッパのハブ空港であるフランクフルト国際空港には実際に日本人のグランドスタッフが数名います。

ツアーコンダクター

ツアーコンダクターは海外旅行のプランを立てたり、現地の施設などと交渉したり、同行したり、ツアー参加者のお世話をする仕事です。

旅先でのガイドや参加者のフォロー、ちょっとした通訳などドイツ語圏へのツアーであればドイツ語を必要とします。

バイヤー

バイヤーとは、日本のアパレルや小売業界などに海外の商品を買い付ける仕事です。

洋服や雑貨、海外食品などの買い付けを行うため、実際に現地へ足を運んで交渉することもあるので、語学を活かせる仕事です。

例えばチョコレートやコーヒーなどドイツから買い付けを行っている企業のバイヤーになれば、ドイツ語を使う頻度も高まります。

ですが自身の企業で買い付けを行うという場合以外では、日本の企業に就職してバイヤーの業務を担うということがほとんどで、フリーランス のバイヤーはあまり存在しません。

まとめ

まとめてみると意外にたくさんありました。

他にも専門職や研究職などでドイツ語を使う職業はあると思いますが、それらの職はドイツ語を使いたいから就くのではなく、その専門職につくために必要、その研究・開発をするために必要など、そもそもの目的が真逆です。

かくいう私も音楽の勉強のためにドイツ語を習得したので、レッスンの通訳や講習会のアシスタントとしても仕事ができています。

ドイツ語が好きだけど何になれば良いのかわからない、という場合はまず自分のやりたいことにフォーカスしてみると答えが出るかもしれません。

参考になれば幸いです♪

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