ドイツの大学とスイスの大学の違い

ドイツとスイスの大学にそれぞれ在籍していた経験から、隣同士で同じ言語をはなすドイツとスイスの大学の違いについて今回は書いていきたいと思います。

ヨーロッパでは隣国であっても文化や食、話す言語が違っていたりと日本人が想像するよりそれぞれの国に個性があると感じます。

教育機関もしかりで、実際に感じた主観的な視点と客観的な視点からまとめていきます。

受験の難易度は?

私はまず日本の四年生大学を卒業してからドイツへ渡り、2年間修士課程に在籍していました。

正規留学だったのでもちろん入学試験を受けて合格したのですが、ドイツの大学とスイスの大学の難易度は違うか?と聞かれると「大学による」というありきたりな回答になってしまいます。

ですが、スイスの大学の方が比較的入りやすいと個人的には思っています。

その理由は、


  1. スイスで勉強するには生活費がドイツの2倍かかる
  2. 外国人留学生が少なめ
  3. 滞在許可証(ビザ)の取得が難しめ

以上の3つです。

スイスの物価はご存知のとおり日本やドイツと比べて約2倍です。

家賃や食費、交通費なども2倍かかるので学生が自力で留学するにはかなりハードルが高いと思われます。

そして、それゆえかドイツには他のヨーロッパやアジアなどからたくさんの留学生が渡ってきていますが、スイスには経済的な理由から住めない外国人が多く、裕福な国出身の人でなければ奨学金をもらったりしない限りは生活が難しく受験しにくる外国人も少なめです。

ドイツの大学では韓国人や中国人、スペイン人の割合がかなり多くドイツ人はクラスに1人しかいない時もありましたが、スイスの大学では比較的スイス人の学生が多かったように思います。

そして3つ目のビザの取得が難しい点です。

日本人がスイスでビザを取得するには、最低250万円ほどの預金残高を証明する必要があります。

もちろんビザが取れないと入学できないので、これらの条件をクリアする必要があります。

成績の評価方法

ヨーロッパでは卒業試験などの結果から成績をつけられ、就職する際にもこの成績が重要になってきます。

日本でも不可と五段階あるようにドイツやスイスでもそれぞれの基準で成績がつけられます。

ドイツの成績評価

ドイツ成績の評価は五段階で、1が一番良く、5が一番悪いというように、数字が小さいほど良い評価となります。

1 に更にausgezeichnetが付けば最も良い評価となります。

3以上を取ってしまうと、就職の際に書類審査すら受けられない場合があります。

  • 1 ausgezeichnet  
  • 1         ↓
  • 2         ↓
  • 3         ↓
  • 4         ↓
  • 5         

スイスの成績評価

ところがスイスでは六段階評価で、ドイツとは逆で数字が大きいほど良い評価になります。最高が6で、最低が1となります。

  • 6    
  • 5    ↓
  • 4    ↓
  • 3    ↓
  • 2    ↓
  • 1    

ちなみにドイツは5段階、スイスは6段階評価と書きましたが、実際1.5や5.5など0.5点刻みの評価も存在するので9段階と11段階になりますね!

語学証明の必要性

ドイツの大学では必ずドイツ語の語学証明が必要です。

各大学によって求められる試験の種類やレベルは様々ですが、B1以上のレベルの合格証が無いと入学できないところがほとんどです。

それに比べスイスは少し緩いです。

私の大学では受験時の面接で試験官と話してみて、おおよそ話せていたらOK、語学力が足りないと思われた人は語学証明を出せばいいということになっていました。

そしてドイツ語でなくても英語が話せれば大丈夫となっていたので、ドイツ語圏のスイスでしたが、ドイツ語を話せない学生は割とたくさんいました。

私が通っていたドイツの大学では、入試を受ける際にB1以上、入学から半年以内にB2を取らないと即退学という決まりだったので、そこと比べてもかなり語学に関してはスイスの方が緩いですね。

Master(修士課程)を2度修了できる

一般に大学院といわれるのは修士課程のことですが、ドイツ語ではMasterといいます。

この修士課程は、ドイツでは世界中のどこの大学であろうと一度修士課程を修了している者は入学すらできないことになっています。

日本で大学院を卒業してからドイツへ留学していた知人は、日本の大学院へ通っていたことを隠して受験し入学していました。

ですが、スイスには “zweiter Master” と呼ばれるMasterを2回できる制度があるので、もう一度別の大学で別の教授の下勉強するということが可能です。

実際にドイツで1度目のMasterを修了してからスイスへ来てもう一度Masterをする人もいます。

まとめ

以上、ドイツとスイス両方の大学を出た日本人が感じた、両国の大学の違いについてまとめてみました。

日本の大学と比べれば違いは少ないですが、実際に通ってみると驚きや発見など予想外なことがたくさんありました。

留学を考えている人、またエラスムス(Erasmus)=交換留学を考えている現地の留学生の参考になればな、と思います♪

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