ドイツ語の時制の法則①【過去/現在完了/過去完了の使い分け】

ドイツ語中級レベルでよくこんがらがるのが時制。

文法を習った時点で理解していても実際に話すときに時制のきまりを正しく使いこなせている人は少ないのではないでしょうか。

今回はそんな少しややこしいドイツ語の時制の法則と、使いわけについてまとめていきます。

そもそも時制とは?

時制とは、動詞の語尾が活用するドイツ語や英語、ラテン系の言語などで過去形・未来系など様々な時を表す文法のしくみのことです。

英語の授業でも「時制の一致」など聞いたことがあると思います。

ドイツ語の時称の種類

ドイツ語の時称の種類は6つ。

  1. 現在
  2. 過去
  3. 現在完了
  4. 過去完了
  5. 未来
  6. 未来完了

この中で過去のことを表現するものは、

  • 過去
  • 現在完了
  • 過去完了

の3つですが、このうち過去と現在完了は実はドイツ語ではほとんど同じ意味で使われます。

この使いわけにはドイツ語独特のルールがあり、英語やフランス語とも全然違うのでこのルールをおさえておく必要があります。

これについては記事の最後に解説しているので、気になる方は目次から飛んでくださいね!

過去形

ドイツ語の過去形は、規則動詞が不規則動詞かによって活用の仕方がかわります。

といっても不規則動詞の変化は名前のとおり不規則なので、1つずつ覚えるしかありませんが、規則動詞の過去形人称変化はとても単純です。

規則動詞の過去形

規則動詞の過去形は、主語の人称と人数によって形は変化するものの、ルールにのっとって変化させれば難しくありません。

動詞 spielen「演奏する」を例に見てみます。

例)Ich spiele Klavier. 「私はピアノを演奏します。」

spielenは規則動詞なので、現在系の人称変化はこうなります。

ich spielewir spielen
du spielstihr spielt
sie/er spieltSie spielen

これを過去形にするには語尾(e/est/en)の前にtを入れます。

ich spieltewir spielten
du spieltestihr spieltet
sie/er spielteSie spielten

⚠️このとき三人称単数のsie/erの語尾は、spieltetではなく一人称と同じspielteになるので注意。

不規則動詞の過去形

代表的な不規則動詞の過去形変化をあげていきます。

gehen「行く」

ich gingwir gingen
du gingstihr gingt
sie/er gingSie gingen

essen「食べる」

ich wie aßen
du aßestihr aßt
sie/er Sie aßen

geben「与える」

ich gabwir gaben
du gabstihr gabt
sie/er gabWir gaben

現在完了形

次は現在完了についてです。

現在完了形は日本語にすると「すでに〜してしまった」というニュアンスになり、過去「〜した」と比べて物事がすでに完了している状態を表します。

ですが、ドイツ語では単純に「〜した」と過去のことを表すときに、この現在完了形を使います。

日常的に過去形よりも現在完了形を使う頻度の方が圧倒的に高いのです。

その使いわけについてはあとで説明するとして、まずは現在完了系の文章の組み立てかたについて解説します。

ドイツ語の現在完了は、

  1. haben + 現在完了形
  2. sein + 現在完了形

このどちらかで構成されます。

動詞によってseinとhabenのどちらの助動詞を使うのかが決まっています。

sein支配の動詞

seinをとる動詞の条件は2つ。

  • 場所の移動を表す
  • 状態の変化を表す

場所の移動を表す動詞とは、「行く」「走る」「立つ」「座る」「動く」など自動詞の中でも場所の移動を表す意味をもつ自動詞のこと。

状態の変化を表す動詞は、「〜になる」「起こる」「とどまる」

など。


おもなseinをとる動詞

gehen「行く」, kommen「来る」, fahren「乗っていく」, rennen「走る」, laufen「歩く」, fliegen「飛ぶ」, fallen「落ちる」, sitzen「座る」, stehen「立つ」, werden「なる」, sterben「死ぬ」, geschehen「起こる」, sein「ある」, begegnen「出会う」, bleiben「とどまる」



これに付随して、分離動詞になる動詞も同じくsein支配になります。

例)aufstehen「起床する」, ankommen「到着する」, spazierengehen「散歩する」

haben支配の動詞

他動詞とseinをとる動詞以外の自動詞はhaben支配の動詞になります。

多くの動詞はhaben支配なので、sein支配の動詞をすべて覚えておけば他はすべてhabenなので迷いにくいですね。

過去完了

ここまで理解すれば過去完了は簡単です。

現在完了が現在から振り返って「〜した」「〜してしまった」という意味に対して、過去完了は過去のある時点ですでに「〜してしまっていた」という過去の時点でさらに先の過去のことを振り返るときに使う表現です。

完了の助動詞のsein, habenを過去形にすれば、現在完了と組み立てかたは同じです。

  • seinの過去形 + 現在完了形
  • habenの過去形 + 現在完了形

seinとhabenの過去形人称変化は以下のとおり。

ich warwir waren
du warstihr wart
sie/er warSie waren

ich hattewir hatten
du hattestihr hattet
sie/er hatteSie hatten

例)【現在】Ich beherrsche Deutsch.「私はドイツ語をマスターする」

【過去】Ich beherrschte Deutsch. 「私はドイツ語をマスターした」

【現在完了】Ich habe Deutsche beherrscht.「私はドイツ語をマスターした」

過去完了】Als ich 20 Jahre alt war, hatte ich schon Deutsch beherrescht. 「私は20歳の時にはすでにドイツ語をマスターしていた」

過去と現在完了の使い分け

最後にドイツ語の過去形と現在完了形の使い分けについて説明します。

以前の記事でも何度か書いていますが、ドイツ語の日常会話の中で過去形を使うことはほとんどありません。

会話の中では過去形を使う代わりに現在完了形を使い、書籍や文書の中では過去形を使うことになっています。

例)今日ドイツ語を勉強した。

⭕️ Ich habe heute Deusche gelernt.

❌  Ich lernte heute Deutsch.

もちろん例外はありますが、基本的に過去形を使って話すことは、ドイツ語会話の中では不自然さを感じます。

話法の助動詞(könne, solle, müssen, wollen, dürfen, mögen)の過去形や、haben、sein、そして関係代名詞などとよく使う動詞(wissenなど)は会話の中でも使われることがあります。

まとめ

少しややこしいドイツ語の時制についてまとめてみました。

日本語と同様、日常的に過去完了を使うことは少ないと思いますが、過去形や現在完了形など知っていないといけない時制のルールは整理して頭に入れておく必要があります。

頭がこんがらがってきたら今一度、この見返して整理するのに活用してもらえればと思います。

次は、未来形と未来完了形、そして話法の助動詞の過去形についてまとめたいと思います!

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